M&Aに関するコラム

イザ!「スモールM&A」⑥スモールM&A市場で買い手が求めているモノとは

2018.12.10

少子高齢化による中小企業の後継者不足問題などから「スモールM&A」に注目が集まっていることについて前回は述べさせていただきました。本稿では実際に「スモールM&A」をすることを想定し、買い手側は何を求めているのか、売り手側はどうすれば高値で売れるのか等、具体的な例を用いながら見ていきたいと思います。

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スモールM&Aをする時に買い手側の企業が求めるものは、買い手企業の今後の成長はもちろん、M&A後のグループ全体の収益拡大でしょう。その為、売り手企業側としては、しっかりとした収益体質を確立していないと、買い手側から見向きされない、と考えられがちです。しかし、実際のM&A現場では、「売り手の収益体質は必須項目である」という考えは全くありません。当然売り手側の収益体質が確立されているに越したことはないのですが、買い手企業ニーズのうち、売り手企業の収益状況に関する比重はそこまで大きくなく、収益以外のファクターにかかる比重が大きいケースが大半なのです。買い手企業は、必ずしも収益力の高い企業のM&Aを望んでいるとは限らないということです。では買い手企業が求めているファクターとは何か、具体的に見ていきましょう。

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1. 許認可
一定の業種を事業として営む場合、国や都道府県、特定機関からの許認可が必要となることが多々あります。各許認可は、書面を提出すればほとんど認可されるものや、専任の有資格者を設置しなければならないものもあり、その要件は様々です。中には、現在新規参入が認められていない許認可であったり、要件が非常に厳しく設定されている許認可もあります。そのような「取得が困難な許認可」、または「取得に時間を要する許認可」について、既に当該許認可を有している企業をM&Aすることにより、許認可の取得が出来るのです(※吸収合併等M&Aの手法によって、許認可引継ぎが出来ないケースがあるので注意が必要です)。

2. 人、技術、ノウハウ
多くの企業において、恐らく「人材」は大きな悩みの種ではないでしょうか。企業に新たな人材が入ってきたとしても、業務を習得し、収益を計上し、企業に貢献できるようになるまでには時間がかかります。
企業が新規事業に取り組む場合、当該事業に関するノウハウが不可欠ですが、今まで経験のない領域のノウハウを社員が得るまでには、膨大な時間や経験が必要になります。
M&Aを実施した場合、売り手企業の従業員も雇用することが出来ます。ノウハウを有している売り手企業の従業員を雇用することで、許認可が得られるだけでなく、その技術やノウハウを持つ即戦力な従業員が増え、許認可を受けた新事業をスムーズに開始することができます。ノウハウの中で、特に重要なのが失敗経験です。M&A実施前に、売り手企業側で蓄積された失敗の経験と、その対応策として設定されている社内ルールなどは、新事業を運営していくにあたり、リスクヘッジの観点から非常に有意義なものになるでしょう。

3. 人脈
特にB to Bビジネスの場合、「収益の源泉である情報をいかに取得するか」は非常に重要なポイントになります。M&Aは、売り手側企業の役員や従業員の持つ人脈を活用することが出来ることから、新たなビジネスルートを獲得することにもつながります。一般的にM&Aは自社事業とのシナジー効果を狙って実施されるケースが多いことから、売り手企業の人脈は、買い手企業の既存事業にとっても収益拡大のチャンスとなることが多くあります。

4. 内製化
内製化を目的としたM&Aは、これまでもよく行われてきており、外注先、ないしは外注している業務を行う企業をM&Aするケースになります。外注部門のM&Aは、単純に外注コストの削減効果が期待できます。ただし、削減できるコストは金額面だけではありません。情報伝達のスピード向上、打ち合わせ時間の短縮など、業務の効率化が可能になることから、時間的なコスト削減の効果も期待できるといった点で、非常に有意義なものになります。

5. 歴史
自社努力によって得ることが出来ないものの1つが歴史(=時間)です。長く事業を営んでいることそのものが、企業に対する信用度になることは、世の中ではままあることでしょう。M&Aの実施は、その企業の歴史を引き継ぐ、という一面もあるということです。対外的な信用を高める意味でも、売り手企業の歴史を求める買い手企業もいます。

→ イザ!「スモールM&A」⑦利益以外の価値を見出したM&Aの実例

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