イザ!「スモールM&A」④中小企業にとってのM&A戦略
2018.11.26
中小・小規模事業者の多くは、後継者問題などの様々な課題を抱えています。実際にM&Aの現場では、「後継予定者が居ないものの、借入が残っている為清算出来ない」といった声や、「清算後の生活に不安がある為に、廃業に踏み切れない」という代表者の声が多く聞かれます。いずれにしても、今後の人口減少を背景にした市場の縮小や、経営者の高齢化に伴う経済・企業業績へのマイナスインパクトなどを考慮すると、遅かれ早かれ事業の清算や撤退・廃業を考えざるを得ないケースがほとんどです。
中小企業が売却を検討する際のポイントは、大きく分けて3つです。1つ目は「遅くとも、売却を行う1~2年前には、M&A仲介会社に相談を行うこと」です。M&Aの実施は、法的な手続きを伴うものであり、見落としがあると取り返しがつかないことになりかねません。また、M&Aといっても、単純な株式の売買だけでなく、そこで働く従業員もM&Aの対象になることから、事前準備について「早すぎる」といったことはありません。むしろ「備えあれば憂いなし」ですので、憂いが無い状態を早期に作ることが大切になります。その為にも、まずは仲介の専門家に相談し、売却前に整えなければならないこと、改善しなければならないこと等を明確にしておくことが重要です。2つ目は「M&A後に残される従業員等の処遇について検討しておくこと」です。M&Aは、売り手と買い手の間で様々な条件を調整する必要があります。その中でも、従業員処遇については、トラブル要因となるケースがあります。例えば、従業員をそのまま引き取るM&Aだったはずが、M&A後に多くの従業員が辞めてしまったケースなどもあります。企業同士の結婚とも言われるM&Aですので、細かな所までケアしていく必要があるのです。まずは、売り手側の意向として、従業員処遇をどうしたいかを検討していく必要があるでしょう。3つ目は「売却後における経営者のライフプランを検討しておくこと」です。人生100年時代と言われる現代において、企業を売却した後も代表者の生活は続きます。売却価格の設定をしながら、引退後の生活などを事前に検討しておくことは、とても重要です。