M&Aに関するコラム

中小零細企業における価値とは

2019.08.29

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スモールM&Aが市場や雑誌でも取り上げられることが増加してきた今日この頃ですが、中小零細企業がM&Aに取り組む際、かなり多くのケースで見られるネック事項があります。それは「自社の価値」についてです。
中小企業の多くはオーナー社長であり、特に創業社長の場合は、自身が会社を引っ張ってきたケースが大半といっても過言ではないでしょう。それゆえ、社長が自社の価値を客観的にみることが出来ず、買い手企業に対するPRポイントを見出せない、またはPRポイントが買い手企業にうまく伝わらない、といった事象が発生することがあります。今回は、中小企業のM&Aにおける企業価値について検討していきたいと思います。

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<事業価値>
まず、シンプルにM&Aにおける価値算定といえば、業績等の財務内容から判断する株式価値が挙げられます。この価値は、最も一般的でコンセンサスの取りやすい基準になります。価値算定の方法は複数ありますが、今回は割愛させていただきます。
事業価値という観点で考えれば、自社の既存事業とのシナジー効果に基づく、期待収益による事業価値の算定も挙げられます。これは算出方法が厳密に定義されているわけではありません。例えば、「内製化することにより抑制されるコスト=M&A対象会社の価値」と考えることが出来ます。このように、期待できる収益(=削減できる費用)を基に価値を算定することで、場合によっては株式価値より高い金額がつくこともあります。

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<許認可・免許・口座>
M&Aの買い手企業の多くは、自社の成長スピードを加速させたいという考えを持っています。例えば、新たに事業を開始する場合、関係行政に提出する許認可の申請を行ったり、許認可申請を行う為の条件を整える必要がありますが、既に当該事業を営んでいる会社をM&Aすることにより、事業をスタートさせるまでの期間を短縮することが出来ます。また、売り手企業の顧客(販売ルート等)が残っているようであれば、さらにスピードを上げることが出来るでしょう。
販売ルートに関して言えば、売り手企業のこれまでの企業努力や人脈等により、大手や優良先との取引口座を有していることがあります。業界によっては新規参入が難しいケースもあることから、取引口座の内容は価値が見出せる重要な要素の一つです。この点は、財務には現れないことから、上述の株式価値に反映されることはありません。その為、買い手企業は気付きにくいポイントでもあります。もし、大手企業との取引口座を有している場合、それはM&Aにおいてアドバンテージを有していることになるでしょう。

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<人財・ノウハウ>
人財は、中小企業が非常に頭を悩ませる要素の一つでしょう。そしてそれは、M&Aにおいても例外ではありません。上述のように、中小企業は経営者によるトップセールスで収益を計上してきた企業が少なくありません。その場合、営業のノウハウや顧客とのリレーションが経営者だけに集中してしまっていることがあります。M&Aにおいて、引継ぎ期間を過ごした後、売り手企業の経営者は引退することが大半です。もし、経営者にノウハウが集中していた場合、引継ぎ期間内にそれらのノウハウを買い手企業側ないしは残留する従業員に伝達できない場合、売り手企業の魅力(=価値)はかなり減ってしまいます。
それを防ぐためには、自社の従業員の中で、事業に精通している人財が在籍していることが必要になります。そして、その従業員はM&A後も残留するのか、といった点は成功するM&Aにとって非常に重要な要素となります。また、そのような従業員が在籍していない場合、経営者のノウハウを客観的に整理して、買い手企業側に引き継いでいく準備をしておくことも重要です。M&Aにより、せっかく創りあげてきた顧客とのリレーションが解消されてしまうことは、売り手企業にとっても買い手企業にとっても非常に残念なことです。そういった結果にならないよう、M&Aのエージェントとともに、自社の価値について検討をしていくことをお勧めいたします。

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