廃業企業はもったいない(3)
2019.06.17
新しい切り口である休廃業・解散企業の業績を分析していきたい。2015年までの3年間で休廃業・解散した企業約88,000社のうち、廃業直前の売上高経常利益率(以下、利益率とする。)が判明している企業86,000社について集計データをもとに休廃業前の利益率を確認したところ、黒字状態の廃業企業の割合は50.5%と、半数超の企業が廃業前に黒字であった。また、利益率が10%以上の企業が13.6%、20%以上の企業が6.1%と、一定程度の企業は廃業前に高い利益率であったことが分かっている。休廃業・解散企業の中でも、廃業前に黒字であった企業、高収益企業も一定数存在する中で、利益率が10%以上の状態で廃業した企業の、従業者規模を見ると、黒字廃業企業のうち、約69%が従業者数5人以下の小規模企業、約93%は20人以下の中小企業で、黒字・高収益廃業企業の多くは規模の小さな企業から構成されていた。これこそ「もったいない」だろう!小企業ながら一定収益を挙げられる会社は、オンリーワンの強みがあるということの裏返しでもある。その強みを事業譲渡も含めたM&Aで譲り渡すことが、関わる人々の幸福につながるであろう。今までのM&A市場では小企業は非対象であったが、スモールM&Aが浸透してきた今後はこのような自体が避けられるものと期待したい。