M&Aに関するコラム

イザ!「スモールM&A」⑧高値売却に向けたM&A戦略の立案

2018.12.25

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ここまで述べてきたスモールM&Aですが、成功率は50%に満たないと言われています。M&Aを成功に導くには、買い手・売り手双方が、十分な準備を整えることが不可欠です。今回は、売り手企業が高値で売却を行う為のM&A戦略について検討します。
まず第一に確認しなければならないのが、「M&Aの取引金額は、いかにして決められるか」ということです。M&Aの取引金額の算出方法はいくつかあり、必ずしも決められているわけではありません。例えば、相場より多少高くても、買い手企業が欲しがる強みを持っている企業は、高値での売却が可能となります。しかし、取引金額のベースを策定するにあたり、最も活用される資料は、やはり売り手企業の財務内容と言えるでしょう。財務面からのアプローチ手法としては①貸借対照表に着目して金額を算定する「コストアプローチ」、②市場価値や類似業種の相場に着目して金額を算定する「マーケットアプローチ」、③売り手企業が将来獲得すると予想される収入に着目して金額を算定する「インカムアプローチ」の3種類があり、それぞれのアプローチに対し、算出方法が複数存在しています。例えば、M&Aの金額算定において最も活用されるDCF法は、将来的に獲得するであろうキャッシュフローに対して現在価値を算定する手法であり、インカムアプローチに属しています。但し、金額算出に関しては、専門家に任せてしまった方が、確実ですし早く結果が出るでしょう。
事業者サイドでは、算出される価値を高める為に何をすべきかを検討していく必要があります。1つ目は、恐らくほとんどの人が想像するでしょうが、収益力を強化するということになります。この点については、特段説明の必要はないかと思われます。
また他の検討としては、「自社の強み・弱みを知る」ということです。

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経営分析手法はPEST分析、3C分析、5Force分析等、様々ありますが、最もポピュラーな手法としておすすめするのはSWOT分析を利用した方法です。SWOT分析は組織が有する「内部環境」と組織を取り巻く「外部環境」という2つの側面から企業の現状を把握し、さらに内部環境を「強み」と「弱み」、外部環境を「機会」と「脅威」という枠組みに分け、今後の戦略方針や改善策などを立案するために行う診断手法です。(SWOT分析の“SWOT”は、4つの軸となる「強み(STRENGTHS)」「弱み(WEAKNESSES)」「機会(OPPORTUNITIES)」「脅威(THREATS)」それぞれの頭文字からきています。)
強みと弱みは、自社の有形・無形の経営資源、例えば商品力、コスト体質、販売力、技術力、評判やブランド、財務、人材、意思決定力などを検討し、それらが競合他社より優れているか、劣っているかで分類して導いていきます。
機会と脅威は、組織が目的を達成するうえで影響を受ける可能性のあるマクロ要因(政治・経済、社会情勢、技術進展、法的規制など)とミクロ要因(市場規模・成長性、顧客の価値観、価格の傾向、競合他社、協力会社など)を列挙し、促進要因と阻害要因に分けることで導き出していきます。
SWOT分析で注意しなければならない点は、強みと弱みは単なる恣意的な解釈であり、どんなターゲットを想像しているか、どんな戦略をとるかによって全く異なることを理解することです。M&Aの現場では、「M&Aで自社を売却する場合の強み・弱み」を検討していかなければなりません。
分析を行った後には、改善活動が待っています。特に弱みの改善は急務です。どんな業界であっても、現代は情勢が目まぐるしく変化します。M&Aの現場においてもそれは同様であり、今ニーズがある業種や事業が、3年後にニーズがある保証はどこにもありません。ベストなタイミングで売却活動を行うためには、売却開始の準備をどれだけ早く始めるかにかかっています。売却開始までのタイムスケジュールを逆算し、自社の強みを強化・弱みを改善することは、結果的に企業業績への反映することや、売買検討の中でプラス材料となることが期待できます。どんなことでもABC(A当たり前のことを、B馬鹿にせず、Cちゃんとやる)が重要になります。自社の分析がうまく出来ない方は、M&Aの専門家とともに売却戦略を立案していくことが、結果的に失敗の少ないやり方になると思われます。M&A仲介会社には「ネットワークに強い会社」「財務に強い会社」など、様々な特徴があります。自社にあったパートナーを見つけることが重要です。

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