~ M&A実務シリーズ 「株式譲渡と事業譲渡のちがい」 ~
2018.04.23
M&Aといっても様々な手法があり、譲渡企業/買い手企業のニーズによっても使い分けられます。一般的に、事業承継を目的とした中小企業のM&Aにおいてはその手続の簡便さから、株式譲渡によるM&Aが最もよく利用されておりますが、今回はその「株式譲渡」と「事業譲渡」のちがい(メリット・デメリット)について紹介していきたいと思います。
まずは譲渡範囲のちがいについてです。
「事業譲渡」は、特定事業を切り出して買い手に譲渡するスキームです。譲渡企業側の株式自体は動きませんので、譲渡対象事業以外の事業は、そのまま今の会社に残ります。
一方「株式譲渡」は、基本的には会社の株式そのものを譲渡することですので、その会社に帰属する全ての事業や資産が譲渡対象となります。
つまり「特定の事業だけは残しておきたい」という場合にはこの手法を利用することができず、その場合は事業譲渡を選択する必要があります。
次に、それぞれの譲渡手法のメリットとデメリットについて紹介していきます。
<事業譲渡のケース>
【メリット】
①承継する資産や負債を限定することが可能
②不採算事業の承継を避けることができる
③営業権の償却が可能
【デメリット】
①個別の資産毎に譲渡手続きが必要であり取扱いが煩雑
②仕入先や販売先、賃貸借契約を含めた契約の承継が困難なケースもある
③許認可等を承継できない
<株式譲渡のケース>
【メリット】
①売却により創業者利益を得ることができる
②持ち株比率に応じて柔軟な資本設計が可能
③比較的手続きが簡便
【デメリット】
①会社資産を全て譲渡する必要があり、特定事業のみの承継ができない
②株式譲渡後に現株主の望まない経営方針の転換や人事施策が行われる可能性がある
③株主が複数に分散している場合、取りまとめが難しい
④買い手に簿外債務を引き継いでしまう可能性がある
⑤営業権の計上や償却が出来ない
いかがでしょうか。「株式譲渡」、「事業譲渡」それぞれにメリットおよびデメリットが存在します。M&Aを検討するにあたっては、譲渡企業/買い手企業ともにどの方法が自社に最も適しているかを適切に判断することが必要です。
M&Aが最良の選択なのか…
経営改善計画を策定して事業再生を図るべきなのか…
当面の事業継続のために新たな資金調達を検討すべきなのか…
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