社員のことを思えば・・・・
2018.07.21
先日、ある経営者勉強会で講師を務めましたが、その時選んだテーマは「ビジネスモデルの寿命」でした。企業寿命30年説が浸透していますが、通信環境の激変や流通経路の簡略化、コンプライアンス強化による業務量縮小など、大きな波が同時並行で押し寄せ、従来のビジネスモデルでは必要利益が確保できない業界が多発しています。
スモールМ&Aは、事業承継や廃業をキーワードに小規模企業の手立てになっていますが、ビジネスモデルの劣化も十分売却理由になりえます。仮に自社の商流が劣化しても、蓄積した顧客名簿や大手との取引口座、各種許認可や免許などは、時流にのった同業者にとっては垂涎の的です。そのためにも、私が顧問契約を結ぶ際には、人間と同様に会社の健康診断を行いカルテ作成します。それにより、体質改善を進めるケースもあれば、部門整理など手術を行うことも、有力企業への事業譲渡・М&Aを急いで頂くケースもあります。中小企業の事業継続は地域経済対策の重要な手立てです。そのためにも、自社の本当の価値を早期に知ることが肝要だと思います。社員のことを考えて、事業を存続させるためのM&A、スモールM&Aは有効な手段であると思います。
※スモールM&Aとは
「スモールM&A」は様々な言われ方がありますが、売上高が1億円未満、従業員規模が数名から20名以下という事業規模の比較的小さいM&Aのことを「スモールM&A」と捉えられることが多いです。
2017年版の中小企業白書では、日本全国に存在する企業・個人事業所の数は382万社となっています。これを中小企業庁が区分する「大企業」「中小企業」「小規模企業」に分類すると、「中小・小規模企業」の割合は、実に全体の99.7%という比率になっています。日本の地域経済にとって、中小・小規模事業者が如何に大きな役割を果たしているかが分かります。しかし、前述のように中小・小規模事業者の多くは、後継者問題などの様々な課題を抱えているのが現状で、今後の市場縮小を考慮すると、事業の清算や撤退を考えざるを得ないケースが多くなっています。対して、同じ中小企業でも積極的な成長を目指す企業にとっては、売手企業の有する顧客基盤・各種許認可・即戦力となる従業員・経営者の経験などは、成長を加速する上で必須のアイテムとなっています。
従来のM&Aは大手・上場企業が中規模(年商30億円以上)企業を買収するケースが過半を占めていましたが、今後は中規模企業が生き残りと成長を賭けて、地域の小規模企業との関係強化を模索する流れが本流となる。
スモールM&Aはその有効手段として、地域活性化を図ると共に当事者双方のメリットを最大限引き出す手法となるでしょう。