企業継続の難しさ ~今だからこそスモールM&Aを活用しましょう~
2018.07.21
中小企業白書に企業の存続率が示されています。資料によると全企業の10年後の生存率は87%、20年後は70%、30年後は50%との統計データがあります。言い換えれば30年持つ企業が半分ありますが、今後は中小企業の生き残りはより一層厳しくなるでしょう。
スケールメリットの得られない小規模企業は、体力勝負に挑めず、強化される法改正によるコスト増加は、より収益性を悪化させる見通しです。また、経営者の高齢化による事業承継も急務であるが、小規模企業を対象としたスモールМ&Aは浸透しきれていません。スモールM&Aが浸透していない理由としては、今の企業評価システムが資産性評価に重点が置かれているため、優秀な技術者や営業マンの存在、各許認可や免許を評価しないためです。例えば債務超過企業など、抱えている負債を完済するだけの売却メリットが生じないからです。この点は不動産評価下落による資産と負債の逆転現象により滞留化している住宅ローンと似ています。オリンピック後の景況悪化も想定される中で、企業売却価格の下落も待ったなしです。ひと昔前までは、M&Aという言葉そのものがあまり良いイメージではなかったように感じますが、今では、このM&AやスモールM&Aは企業が存続するための有効な手段の一つとして、幅広く活用されています。今だからこそ、真剣にM&A、スモールM&Aを考えてみてもいいのかもしれません。皆が動く前にスモールМ&Aを活用することを勧めます。
※スモールM&Aとは
「スモールM&A」は様々な言われ方がありますが、売上高が1億円未満、従業員規模が数名から20名以下という事業規模の比較的小さいM&Aのことを「スモールM&A」と捉えられることが多いです。
2017年版の中小企業白書では、日本全国に存在する企業・個人事業所の数は382万社となっています。これを中小企業庁が区分する「大企業」「中小企業」「小規模企業」に分類すると、「中小・小規模企業」の割合は、実に全体の99.7%という比率になっています。日本の地域経済にとって、中小・小規模事業者が如何に大きな役割を果たしているかが分かります。しかし、前述のように中小・小規模事業者の多くは、後継者問題などの様々な課題を抱えているのが現状で、今後の市場縮小を考慮すると、事業の清算や撤退を考えざるを得ないケースが多くなっています。対して、同じ中小企業でも積極的な成長を目指す企業にとっては、売手企業の有する顧客基盤・各種許認可・即戦力となる従業員・経営者の経験などは、成長を加速する上で必須のアイテムとなっています。